聞き手・池田伸壹
耕論 解散命令請求 その前に
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する、宗教法人の解散命令をにらんだ政府の動きが進んでいる。「信教の自由」や「政治と宗教」にも関わるこの問題を、どう考えるべきなのか、日本政治思想史を専攻する政治学者の河野有理・法政大学教授に聞いた。
私にはいまの旧統一教会をめぐる解散請求に向けた動きは過剰反応に見えます。もちろん、宗教2世問題を含めて被害者の救済が必要ですし、加害者や法律に違反した者へは法の裁きが下されるべきです。
「耕論」では、一つのテーマについて3人の論者がそれぞれの視点から論じます。以下のリンクからほかのお二人の論考をお読みいただけます。
しかし、「反社会的集団だから潰してしまえ」という世論に流され、宗教団体解散のハードルが著しく低くなってしまうのは危険です。「良い人にしか人権はない」ということも「立派な宗教にしか信教の自由はない」ということもありません。冷静に歴史的な先例と比べて判断することが必要です。基準を急激に変えてしまうことは将来に禍根を残す可能性もある。
人権や信教の自由などを守る最後のとりでが、憲法であり裁判所です。好ましくない事態があれば、そこに行き着くまでに選挙や民主主義のプロセスの中で是正していくというのが本来の姿だと、政治学者として指摘しなければならないと感じています。
私が中学を卒業するころにオ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル